Sing the Troubled Beast + Diablo Guapo / BASTRO

Sing the Troubled Beast + Diablo Guapo / BASTRO

https://bastro.bandcamp.com/

2005年2月4日に発売された、アメリカ・ルイビル出身のポストハードコアバンド BASTROのコンピレーションアルバムです。
「Sing the Troubled Beast」「Diablo Guapo」というバンドが残した2枚のスタジオアルバムからフィル・オクス氏のカバー曲「Pretty Smart On My Part」を除いた全曲を収録したコンピ盤で、所有しているのは帯と対訳・解説が付属した国内盤CDです。
1980年代後半のアメリカにおけるポストハードコア/ノイズロックシーンの中でも、知的で実験的なアプローチを際立たせたバンドとして知られており、のちにポストロックの代表的存在Gastr del Solへと発展していく過程においてBASTRO名義で発表された2枚のアルバムは重要な意味を持っています。
デビュー作となる「Diablo Guapo」はポストハードコア的な激しさを前面に押し出しながらも、単なる攻撃性にとどまらない複雑さを持った作品で、スティーヴ・アルビニ氏のプロデュースによる乾いた質感と生々しい音像が際立ち、ギターはノイジーで鋭くリズム隊は緊張感に満ちています。
曲構成には突発的な断片や即興的要素が多く、またアートロックや現代音楽的な感性も垣間見えており、従来のハードコアの枠を超え知的で前衛的なロックの可能性を提示した点で特異な位置を占めています。
セカンドとなる「Sing the Troubled Beast」ではその実験性をさらに深化させていて、攻撃的な音の奔流は影を潜め、細部まで練られた構成、音の空間性、そして余白を活かしたポストロック的アプローチによって構築的かつ抽象的な音楽へと進化しています。
2作を通してポストハードコアからポストロックへと至る過渡期のサウンドを、極めて高い完成度で記録した衝動とそれを構造的に捉え直し、静謐な実験として再提示した本作は90年代以降の実験的ロックの礎を築いた重要な記録です。
ジャケットはモノクロの木版画風イラストで描かれた不穏な森の風景の中にシュールで異形な人物像を中心に据えたデザインで、アルバム「Sing the Troubled Beast」のアートワークを流用したものになっています。
粗めのタッチと太い輪郭線、強いコントラストで構成されていて、赤と白で色分けされたタイトルとバンド名は2つの作品が独立しながらもひとつの流れの中にあることを示唆しているように感じさせてくれます。
バックカバーにはアルバム「Diablo Guapo」のアートワークが配されており、見開き内側には手書きで歌詞と思われるテキストがびっしりとレイアウトされています。
デザインに関するクレジット類の記載はありませんが、「Sing the Troubled Beast」のカバーアートはMichael O’Bannon氏によるものです。

Tracklist

01. Demons Begone
02. Krakow, Illinois
03. I Come From A Long Line Of Shipbuilders
04. Tobacco In The Sink
05. Recidivist
06. Floating Home
07. Jefferson-In-Drag
08. The Sifter
09. Noise/Star
10. Recidivist
11. Tallow Waters
12. Filthy Five, Filthy Ten
13. Guapo
14. Flesh-Colored House
15. Short-Haired Robot
16. Can Of Whoopass
17. Decent Skin
18. Engaging The Reverend
19. Wurlitzer
20. Hoosier Logic
21. Shoot Me A Deer

Design Credit

UNKNOWN